人はなぜイヌ・ネコやハムスター・インコなどの動物を飼育するのでしょう。すがたや動きがかわいい・かっこいい、さわると気持ちがいいなどの理由で飼っている人もいると思います。でもそれだけなら、動くぬいぐるみでも十分なはずです。動物を飼うということは、社会の発達や貧富の差などとは関係なく人間社会に深く根ざしたことで、他の動物ではあまり見られない現象です。
人と動物との関わりについて勉強し、動物を飼うにあたっての責任や義務を知りましょう。そのうえで飼育すれば、私たちはこの上ない楽しさや喜び、やすらぎやいやしをえることができ、動物にはすこやかで平和な生活をあたえることができます。
人と動物との関わり
その関係はいろいろな見方がありますが、「野生動物」と「家畜」の2 つに分けることもできます。野生動物は自然に生育する動物です。本来その生物の生活に人は直接関わらない動物群です。もう一方の家畜は出産や食餌などを人の完全な支配下におかれた動物群ですから、自然の中だけでは生活できず、何らかの形で人と関わらなければ生きていくことができません。すなわち家畜の命は人に委ねられているのです。
さらに家畜は、人の生活のために飼養されているウシ、ブタ、ニワトリといった「産業動物」と、家庭などで飼育される「愛玩動物(ペット・伴侶動物)」に分類できます。杉並でくらしている私たちが日常ふれる動物のほとんどが、この愛玩動物ではないでしょうか。
家畜とは
人は、有史以前から自然の中で多くの動植物と生活を共にしてきました。時間と空間を共有してきたと言ったほうがよいかもしれません。動物を見ていると安心する人も多いと思います。それは、昔から動物がくつろいでいれば、注意を要する事態ではなさそうだと安心していたせいかもしれません。
動物との共生生活は、3万年前の石器時代まで証明されています。日本でも、約1万年前のイヌの墓が発見されています。
動物を飼う歴史はオオカミとの関係で始まったといわれています。オオカミから見れば人のそばなら食餌にありつけ人の住居に近づくものに対しほえる、人は他のおそろしい動物から守ってもらえるという、おたがいにほぼ対等に利益のある共生関係が生まれました。そしてオオカミが家畜化されイヌになり、人の狩りを助けることでさらにその関係は強まっていったと考えられています。
家畜の多くは1万5千年~5千年前に家畜化され飼育しやすく変化してゆき、その動物についての理解も進んでいます。
愛玩動物とくらす
動物たちとのくらしは楽しいですよね。実際に飼わなくても見ているだけで、心がいやされたり、うきうきしたりする人も多いでしょう。ちょっとしたしぐさや目の動きはとてもかわいく、さっそうと走るすがたはかっこよくほれぼれします。イヌやネコなど人に長く飼われてきた動物をはじめ、いろいろな動物の愛らしさに心をうばわれて、つい飼いたくなります。
ともに生活しているとうれしいときや楽しいときはもちろん、つまらないときや悲しいとき心が落ち込んだときも、そっとあなたに寄りそい心をいやして元気づけてくれることでしょう。しかし、動物を家族の一員に迎え入れることは楽しいことばかりではありません。動物を飼うには心構えも必要です。

住環境もとても大切なことの一つです。場合によっては近所に迷惑をかけることになるかもしれません。例えば鳴き声やにおい、ぬけ毛などが原因となります。そのため飼育を禁止している集合住宅もあります。さらに食費や健康管理費などの経済的負担、時間や体力など他にも考えなければならないことがたくさんあります。
人との関わりが長く、1kg程度から90kg近くある種類まで犬種によって大きさも性格もさまざまです。約400種もある犬種に加え雑種もいるので、自分にあったイヌを選べます。しっかりしつけをすれば、飼い主とのコミュニケーションも群をぬいてすぐれています。あなたの顔を見上げているイヌのひとみを見るととてもいとおしく思うでしょう。散歩は欠かせませんが、それが犬を飼う大きな魅力であり楽しみでもあります。
ハムスターやモルモットなどの齧歯目・鳥類・魚類・昆虫などは基本的にケージや水槽などで飼育します。せまい空間なので適正な飼育環境を作りやすいですが、管理をおこたるとすぐに劣悪な状況になってしまいます。イヌのようにコミュニケーションはとれないことが多いですが、餌付けなどのしつけも可能です。
活発に活動していた動物も、年を重ね知らず知らずのうちにおとろえてきます。そうなると今まで平気だったことも体にこたえるようになり、消化不良を起こしたり病気になりやすくなったりします。少しでも健やかな生活を長く続けるためには、若いときからの適正な飼育が大切で、そうすれば少しの変化にも気づくようになるでしょう。そのときは、獣医師に相談しましょう。
新たな命を授かることは、何物にもかえがたいことです。見ているだけで命の尊さを感じるでしょう。また、小さな命が育っていくすがたも心にひびくことが多くあると思います。世話は大変ですが、そこには大きな喜びが待っていると思います。また、自分がいかに多くの人の愛情に包まれているかを感じるでしょう。もし可能な環境ならば、ぜひ赤ちゃんを産ませ育ててください。
このようなことが起きないように動愛法という法律が改正され、出産制限やそれに対する行政の指導が明言化、厳密化されました。他にも動物を飼育するにあたって守らなければならないことがたくさん決められています。関連するパンフレットなども出ていますので、ぜひ読んで法律の意味合いを理解したうえで飼育してください。