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動物通信

動物を飼うということ

生きものを飼おう

動物を飼うということ
動物とくらす前に
各動物の特色
健康について
新たな命


 動物を飼うということ

人と動物との関わり 人はなぜイヌ・ネコやハムスター・インコなどの動物を飼育するのでしょう。すがたや動きがかわいい・かっこいい、さわると気持ちがいいなどの理由で飼っている人もいると思います。でもそれだけなら、動くぬいぐるみでも十分なはずです。動物を飼うということは、社会の発達や貧富の差などとは関係なく人間社会に深く根ざしたことで、他の動物ではあまり見られない現象です。
人と動物との関わりについて勉強し、動物を飼うにあたっての責任や義務を知りましょう。そのうえで飼育すれば、私たちはこの上ない楽しさや喜び、やすらぎやいやしをえることができ、動物にはすこやかで平和な生活をあたえることができます。

●人と動物との関わり
その関係はいろいろな見方がありますが、「野生動物」と「家畜」の2 つに分けることもできます。野生動物は自然に生育する動物です。本来その生物の生活に人は直接関わらない動物群です。もう一方の家畜は出産や食餌などを人の完全な支配下におかれた動物群ですから、自然の中だけでは生活できず、何らかの形で人と関わらなければ生きていくことができません。すなわち家畜の命は人に委ねられているのです。
さらに家畜は、人の生活のために飼養されているウシ、ブタ、ニワトリといった「産業動物」と、家庭などで飼育される「愛玩動物(ペット・伴侶動物)」に分類できます。杉並でくらしている私たちが日常ふれる動物のほとんどが、この愛玩動物ではないでしょうか。

愛玩動物とくらす ●家畜とは
人は、有史以前から自然の中で多くの動植物と生活を共にしてきました。時間と空間を共有してきたと言ったほうがよいかもしれません。動物を見ていると安心する人も多いと思います。それは、昔から動物がくつろいでいれば、注意を要する事態ではなさそうだと安心していたせいかもしれません。
動物との共生生活は、3万年前の石器時代まで証明されています。日本でも、約1万年前のイヌの墓が発見されています。
動物を飼う歴史はオオカミとの関係で始まったといわれています。オオカミから見れば人のそばなら食餌にありつけ人の住居に近づくものに対しほえる、人は他のおそろしい動物から守ってもらえるという、おたがいにほぼ対等に利益のある共生関係が生まれました。そしてオオカミが家畜化されイヌになり、人の狩りを助けることでさらにその関係は強まっていったと考えられています。
家畜の多くは1万5千年〜5千年前に家畜化され飼育しやすく変化してゆき、その動物についての理解も進んでいます。

●愛玩動物とくらす
動物たちとのくらしは楽しいですよね。実際に飼わなくても見ているだけで、心がいやされたり、うきうきしたりする人も多いでしょう。ちょっとしたしぐさや目の動きはとてもかわいく、さっそうと走るすがたはかっこよくほれぼれします。イヌやネコなど人に長く飼われてきた動物をはじめ、いろいろな動物の愛らしさに心をうばわれて、つい飼いたくなります。
ともに生活しているとうれしいときや楽しいときはもちろん、つまらないときや悲しいとき心が落ち込んだときも、そっとあなたに寄りそい心をいやして元気づけてくれることでしょう。しかし、動物を家族の一員に迎え入れることは楽しいことばかりではありません。動物を飼うには心構えも必要です。


 動物とくらす前に

「うちの子(その家庭の飼育動物のこと)は自分を人だと思っているの」とか「うちの子はイヌと思っていないの」などと言う人がいますが、果たして本当でしょうか。動物は飼い主のことを自分と異なる生き物で考えや習性が違うとは思っていないでしょう。しかし、人は他の動物と異なり相手の立場になって考えることができます。だからその動物の特性や習性をよく理解して、付き合わなければなりません。さらに、飼育していくとその動物の個性もわかってきます。
また、あなたはその動物の一生を見守ってあげられますか。もし、その動物を手放さなければならなくなってしまったら、あなたもその動物もとても悲しい思いをするでしょう。
ですから、動物を飼う前に次のようなことについて家族全員が同意するまでよく話し合ってください。また、一人で飼育することはとてもむずかしいことですから、必ず家族全員で協力しながら飼育するようにしましょう。

●目的と生活様式・動物の特性や習性
外で思いっきり遊ぶのが好きならイヌがよいでしょうし、家の中でのんびり過ごす時間が多いならネコの方がよいかもしれません。ハムスターならば自分の部屋で飼育することも可能です。
どんな目的で飼うのか、それが自分たちの生活様式に合っているのかをよく話し合いましょう。

●動物の一生にわたる計画
動物が家庭に来たときはしつけが必要です。青年期になれば活発に動き回るので、たくさん遊ぶことが大切です。やがて年を取り、重い病気になることだってあります。動物だけではありません。小学生で飼い始めても数年後には中学生です。受験勉強やクラブ活動などで世話をするのが、むずかしくなるかもしれません。
飼おうとしている動物が小型犬やネコなら15年以上生きることも多く、そのころにはあなたも社会人で独立しているでしょう。
動物はあなただけをたよりに生きています。でも動物はあなたの都合に合わすことはできません。動物の一生をよく考えてから、飼育しましょう。

その他の大切なこと ●その他の大切なこと
住環境もとても大切なことの一つです。場合によっては近所に迷惑をかけることになるかもしれません。例えば鳴き声やにおい、ぬけ毛などが原因となります。そのため飼育を禁止している集合住宅もあります。さらに食費や健康管理費などの経済的負担、時間や体力など他にも考えなければならないことがたくさんあります。


 各動物の特色

犬(イヌ) ●イヌ
人との関わりが長く、1kg程度から90kg近くある種類まで犬種によって大きさも性格もさまざまです。約400種もある犬種に加え雑種もいるので、自分にあったイヌを選べます。しっかりしつけをすれば、飼い主とのコミュニケーションも群をぬいてすぐれています。あなたの顔を見上げているイヌのひとみを見るととてもいとおしく思うでしょう。散歩は欠かせませんが、それが犬を飼う大きな魅力であり楽しみでもあります。
しつけをしないと、排泄行為や鳴き声、かみ癖などで周囲に迷惑をかけることにもなります。
狂犬病は、世界で毎年数万人もの多くの犠牲者をだし、人と動物との共通感染症の中でもっともおそれられている病気の一つです。そのため、日本では狂犬病予防法などの法令により登録義務があり、狂犬病予防注射を毎年接種することと定められています。また、鑑札と注射済票をイヌに付けなければなりません。
さらに、散歩などで外に出るときは引き綱(リード)をしっかり持ち、制御しなければならないと決められています。これらのことは責任を持って必ず実行しましょう。

楽しいお散歩
(なぜ運動が必要か)

運動すると血液循環が良くなり、新陳代謝が盛んに行われ食欲が増進、筋肉が鍛錬され、健康が向上する。これに反し、運動不足だと筋・腱の柔軟性が失われ、病気や怪我をおこし易くなるばかりでなく、動作が不活発となり運動本能が抑圧される結果、神経が高ぶり、喧しくなったり、咬みつき易くなったりする。
散歩は引き綱を持つ者と犬との1対1の関係ができ、そこに様々な外的刺激が加わり、互いの信頼関係が強まる良い機会だ。また十分な散歩をすれば、爪も自然に削れ、怪我の心配も減る。
以上の事から運動、特に犬にとって散歩はとても大切だ。
ただし、体格や年齢などによってその仕方も異なるので、気を付けよう。
犬は汗腺が十分に発達していないので、体温調節は主に呼吸により行っている。そのため運動をすると口を大きく開けてよだれを垂らし呼吸が荒くなるので、夏期の散歩は、早朝の涼しいうちや地面が冷えた日没後からするよう心がけたい。
散歩をするといろいろな人と出会い、あなたが望むならたくさんの友達ができる。散歩以外にも、一緒に走ったり、フライングディスクをしたりできる動物は犬ぐらいしかなかなかいない。

●ネコ
大きさは4kg前後で、最も大きな種類で7kgです。毛の長さで短毛種と長毛種におおまかに分けることができます。ネコはなわばりを作るので家の中だけがなわばりになれば、外へ出なくなります。病気や事故をさけるためにも室内飼いをしましょう。種類による性格や気質ははっきりしていないといわれていて、一頭ごとの個性が強いです。飼うというより共に生活すると言ったほうが合っているかもしれません。その中でさまざまな喜びが感じられるようになります。例えばすり寄ってきたり、はなれて行ったり、いろいろな態度やしぐさが心をいやしてくれます。つめとぎや発情期の鳴き声・尿によるにおい付けなどによる問題が起こることもあります。

●ウサギ
1kg弱〜8kgまでさまざまな大きさの種類がいます。感情表現も豊かでよくなつき、自分の名前もきちんと覚えます。しつけもできますが、トイレのしつけはむずかしい場合もあります。ぬけ毛も多いので、室内の放し飼いはそうじが大変かもしれません。
ほとんど鳴くことがなく、散歩も必要ないため、集合住宅で飼いやすい動物です。ただし、メスとオスの同時飼いは、子が次々生まれますから、必ず避妊・去勢手術するなどの対応を取りましょう。

●フェレット
夜行性ですが、昼間でも起きている間は常に遊びまわっています。体重は2kg程度で、人の声を聞き分け飼い主をきちんと識別します。せまい所やトンネルを好み、おもちゃや食べものをかくす行動をとります。

その他の愛玩動物 ●その他の愛玩動物
ハムスターやモルモットなどの齧歯目・鳥類・魚類・昆虫などは基本的にケージや水槽などで飼育します。せまい空間なので適正な飼育環境を作りやすいですが、管理をおこたるとすぐに劣悪な状況になってしまいます。イヌのようにコミュニケーションはとれないことが多いですが、餌付けなどのしつけも可能です。

●珍しい動物や野生動物
家庭で飼育するのは、やめましょう。これらの動物は飼育法が確立されていないことも多く、食餌の用意も大変かもしれません。
その動物に対する知識も集積されていませんから、大きくなり過ぎて飼えなくなったり、適正な飼育環境を整えられなくて病気になっても治せなかったりするかもしれません。また通常、人に慣れにくく、かみつく、未知の病気をもらうなど人の健康を害するおそれも大きいです。


 健康について

●毎日が健康管理
飼育動物の特性や病気・けがのことを良く知り、適切に飼うことが健康管理の出発点です。近づいたとき変わったにおいはしないか、顔色はどうか、食餌をあげたときいつもと同じように食べるか、散歩や遊んだとき動きはどうか楽しそうか、顔をのぞきこんだとき目ヤニや鼻水は出ていないか、さわったときいやがらないかなどちょっとだけ注意をはらうと動物たちの態度や体調の変化に気づくはずです。すなわち、毎日の世話が健康管理となるのです。何か気になることがあれば、早期に獣医師の指導を受けましょう。

●積極的な健康管理
混合ワクチンなどの予防接種や寄生虫駆除剤投与などがあります。また子を望まない場合は避妊・去勢手術を受けましょう。
おだやかな性格になることが多く、高齢期に多い生殖器の病気にもなりにくくなります。さらに定期的に獣医師にみてもらうなど、病気を未然に防ぐこと、早期に発見することを心がけましょう。

●食餌も健康管理
その動物(動物種・年齢・健康状態など)に合った食餌を用意しましょう。また、量や固さ、時間や回数なども重要です。例えば人の食べ物をあたえない、子犬のときは子犬用を一日数回に分けてあたえる、病気のときや予防には処方食をあげるなどです。
※:処方食とは、獣医師の指導に基づいて与える特別な食餌

●しつけの役割
しつけは動物とコミュニケーションをとるための重要な役割をはたし、健康管理のうえで欠かせません。しつけをせずわがままに育てていると、せっかくの動物とのくらしも一面しか見られなくて、飼育の楽しさも良さも半減してしまうでしょう。

高齢動物 ●高齢動物
活発に活動していた動物も、年を重ね知らず知らずのうちにおとろえてきます。そうなると今まで平気だったことも体にこたえるようになり、消化不良を起こしたり病気になりやすくなったりします。少しでも健やかな生活を長く続けるためには、若いときからの適正な飼育が大切で、そうすれば少しの変化にも気づくようになるでしょう。そのときは、獣医師に相談しましょう。


 新たな命

子を産む・育てる ●子を産む・育てる
新たな命を授かることは、何物にもかえがたいことです。見ているだけで命の尊さを感じるでしょう。また、小さな命が育っていくすがたも心にひびくことが多くあると思います。世話は大変ですが、そこには大きな喜びが待っていると思います。また、自分がいかに多くの人の愛情に包まれているかを感じるでしょう。もし可能な環境ならば、ぜひ赤ちゃんを産ませ育ててください。

●無制限な出産
しかし、無制限な出産は悲しみを生みます。必死で育てても劣悪な状態になり死なせてしまったり、どんなに愛情があっても世話を断念して外に捨てたりするようなことにもなりかねません。
野外に放たれた飼育動物は、非常にきびしい生活を送ることになります。おとなになれば子を産みまたその子が出産し、苦しむ動物がどんどん増えていきます。その環境にたえられなかったら死をむかえます。

動物の愛護及び管理に関する法律(動愛法) ●『動物の愛護及び管理に関する法律(動愛法)』
このようなことが起きないように動愛法という法律が改正され、出産制限やそれに対する行政の指導が明言化、厳密化されました。他にも動物を飼育するにあたって守らなければならないことがたくさん決められています。関連するパンフレットなども出ていますので、ぜひ読んで法律の意味合いを理解したうえで飼育してください。


〜あとがき〜

異常気象や激しい台風など、今年もいろいろありましたが、なんとか乗り越えてきた我が家の動物たちにがんばってきたねと話しかけました。そして、最期のその日にありがとう、出会えて幸せだったと言えるようにしたいと思います。皆さんも皆さんの動物たちも幸せに過ごせますようにお祈りいたします。


編集
東京都獣医師会杉並支部
イラスト制作
女子美術大学 学生作品
発行・監修
杉並保健所生活衛生課 (〒167−0051)杉並区荻窪5−20―1 (3391−1991)
平成25年11月発行


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